こんにちは!AMSA Records代表のMasa Gotoです。
このブログでは色々なミュージシャンやアーティストとの対談や、ツアー等の裏話を書いていこうと思います。
皆さんの意見も反映していきたいので、是非お気軽にご意見お寄せください!
さて、第3回は第1回で行ったGary Husband氏との対談の後編になります。
ところでAMSA Reccordsとして企画したゲイリー・ハズバンドの初ソロ来日ツアー、2日前の名古屋公演をもちまして無事終了致しました。
お越し下さった皆様、どうもありがとうございました!!
ゲイリーをご存知ない方の為に、以下に簡単なプロフィールを載せますね!
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(↑↑photo by naoju5155nakamura)
Gary Husband / ゲイリー・ハズバンド(dr&key)
1960年6月14日生れ、イギリス出身のジャズ&ロック・ドラマー、キーボーディスト。
現在58歳。ドラマーとして Level 42のバンドメンバーを務めたり、 Allan Holdsworth、Jeff Beck、Jack Bruce、Gary Moore等数々のレジェンド達とツアーやレコーディングをこなす傍ら、 キーボーディスととしてもJohn McLaughinのThe 4th DimensionやBilly Cobham、Soft Machine Legacy等トップレベルのアーティスト達とツアーを周っている。 他にもThe PoliceのAndy SummersやVan Halen、Mike Stern、Al Jarreau、UK等との数々のセッション歴あり。
・・・さて、それでは対談の方に入りたいと思います。
≪対談 with ゲイリー・ハズバンド:後編≫
Masa Goto(以下Masa):ゲイリーが現在メインでされている活動の中には、ジョン・マクラフリン(ジャズフュージョン界の伝説的ギタリスト。Miles Davisバンドでの活動や、自身のバンドMahavishnu Orchestraが有名)のバンド、John McLaughlin & The 4th Dimensionがありますね。
(The 4th Dimensionのライブ動画:https://www.youtube.com/watch?v=-d7Jd2J92A8 )
ジョンといえば東洋思想に深く精通し若い頃から瞑想の鍛錬も行っていますが、彼のバンドで活動を共にする事でスピリチュアルな領域で何か影響を受けましたか?
Gary Husbnad(以下GH):う~ん、特に何とも言えないけど、彼の ”音楽" から一番影響を受けている事は確かだ。
ジョンとステージで演奏しているとき、しばしばジョンの周りにオーラの様な光り輝くものが渦巻いているのが見えるときがある。
Masa:ゲイリーは他人のオーラが見えるんですか?
GH:普段はそういう事はあまりないんだけど、ステージの上では度々あるよ。
特にアラン(Allan Holdsworth)と演奏するときは一番それをよく体感した。
何かエネルギーの様なものが円を描いて僕とアラン、お互いの間を行き来するのを感じる事が度々あった。いや、視覚的にもそれが見えたんだ。
即興をしているんだけど、お互いが何をするのか完全に前もって感じ取れる、テレパシーの様な感じだった。
あそこまで通じ合った状態になれるミュージシャンは未だかつてアランだけだ。
(↑↑ Allan Holdsworth㊧ と Gary Husband㊨)
Masa:前回仰っていた、アランと初めてセッションしたときもその状態になっていたんですね?
GH:うん、そうだね。こないだも言ったけど、完全に通じ合って数時間ずっと二人だけで即興セッションを無心で続けていたんだ。
アランと演奏するときは”ゾーン”に入る事が沢山あった。
例えるなら、自分が楽器を演奏するのではなく、まるで ”自分が楽器になって、何かのエネルギーに演奏されている” 状態だ。
何かをしようと試みてはその状態にはなれない。”Nothingness(無)”に到達した先にだけ訪れられる領域だ。
色々な鍛錬を積んだ到達点が”無”っていうのは何だか皮肉だけど(笑)、
でもCharlie Parker(ビバップの神的存在のアルトサックス奏者)が言っていた様に、
「全てを学び、ステージでは全てを忘れろ」ってやつだね。
ただドラムセットに座り、抗わずにその瞬間、エネルギーをドキュメントとしてとらえるんだ。
どんなに時差ボケとかで体が疲れていても、ゾーンに入れば体が自然に動いてエネルギッシュな演奏を勝手にしてくれるんだ。疲れも一切吹き飛ぶ。
但し、いつでもゾーンに入れる訳じゃない。
そんなときは、「何だよ、今日は自分で演奏しなきゃいけないのか…!」って感じで大変だよ(笑)
Masa:とても興味深いです。
ジョン・マクラフリンと演奏するときはそういう体験は無いのですか?
先程ジョンのまわりにオーラが見える事があると仰っていましたが・・・。
GH:ジョンとの演奏でも勿論ゾーンには入る。ジョンはよく演奏中にトランス状態に入るから、そういう時は触発されるんだ。
但しアランと僕との間にあったもの程強力ではない。
ジョンに限った事じゃなくて、アランと僕との関係は全く特別なものなんだ。兄弟みたいにね。
これに関しては”信頼”と”ナチュラル”が根底にあるとも思っているんだ。
全てが”1”に近付けば近付く程良い。
Masa:というと?
GH:例えば僕はドラムとピアノを演奏するけど、2つを分けて考えた事はない。
表現する手段として1つのものなんだ。
その考えは今回やっているピアノ+キーボード+ドラムを同時に演奏するという事にも繋がっている。分けて考えていたらとても出来ないよ。
「このフレーズを左手でピアノで弾きながら、このドラムフィルを叩く事が出来るのか!?」とか考えてたら絶対に演奏出来ない。考えた瞬間アウト!!(笑)
自分にそれが出来ると完全に”信じた”うえで、それが”ナチュラル”に実行されないといけない。
ドラムセット一つとっても、別々でなくキットを1つの音楽を表現する為の手段として捉える。
飽くまで一つ一つの動き、一打一打が自然に絡み合って1つのエネルギーになっている事が重要だ。
それはバンドでも同じだ。如何にそれぞれが個人的なエゴを捨てて無になり、ただ一緒に作り出す音楽の為だけに尽くして複数人が大きな”1”になれるかが大切。
ただ、そこにはお互いの信頼関係も多いに関係してくるんだよ。これにはどうしても時間がかかる。
アランとは僕のキャリアを通して最も一緒に演奏する事が多かったからね。
ジョンとももっと年数を重ねれば、アランとの様な強力なシンパシーが生まれるかもしれないよ。
Masa:成程…。バンドリーダーとしてのジョンはどんな存在なんですか?
GH:素晴らしくしっかりしてるけど、同時にかなり曲者だよ(笑)
ジョンは金銭的な事だとかスケジュール的な事はきっちりしていて、いつもバンドメンバー達がちゃんとした待遇を受けられる様にしている。
但し、音楽的にはかなりぶっ飛んだリーダーだ!(笑)
ジョンには一切の "決まりごと” が通用しない。
例えば、何日もかけて丹念にリハーサルを重ねたアレンジがあったとする。
ジョンがするのは、ライブの最中にそれとは全く違ったものを演奏してぶち壊しにする事だ(笑)
Masa:その点においてはブラックな待遇なんですね(笑)
GH:そうなんだよ(笑)
僕は一度、「本番であんなに違う演奏をするなら、一体何故わざわざ何日もかけてリハーサルしたんだい!?」とジョンに尋ねたことがある。
そしたらジョンはこういったんだ。
「その時はその時、今は今だ!」
ってね(笑)
でもね、細かなリハーサルを重ねている事によって、急にジョンが破壊的な事をしても僕等も対応が可能なんだ。そしてジョンの狙いはそこさ。
彼は常に破壊と創造を繰り返し、予想外の状態を作り出すことで僕達から新しいドラマを引き出すんだ。
”予想外のドラマを生み出す為の混沌を意図的に作り出す”、という事においては彼はとても秀でている。
かなりMiles Davisのそれを引き継いでいると思うよ。
(↑↑Miles Davis㊧と、John McLaughlin㊨)
GH:因みに僕が初めてジョンとレコーディングしたのは2006年の「Industrial Zen」というアルバムなんだけど、そのときも驚かされた。
僕はジョンから渡された譜面どおりのピアノを弾いてレコーディングしたんだけど、そしたらジョンは「今までのテイクは全て使わない。」と譜面を取り上げてこう言ったんだ。
「僕はこれから別のピアニストを雇いたいと思ってる。そしてそれは君の中にいる。」
ってね。
譜面どおりに弾いたものとは全く異なるやり方で、即興で録音したよ。そして確かに彼は僕の中から”別のピアニスト”を引き出した。
Masa:凄い…。真にクリエイティヴに”いま”を生きている人しかジョンのバンドでは演奏出来ないですね。
そういえば前回、ジョンは昔は常に”ストーンド(大麻でハイな状態)”だったと言っていましたね。その当時の面白いエピソードはありますか?
GH:そうだなぁ、、、。
あ、Death Chord(死のコード)って知ってる?笑
Masa:いや、知らないです。一体どんなコードなんです?笑
GH:ある日ジョンがライブで演奏しているとき、あまりにキマっていて倒れてしまったんだよ。
ただ彼はギターをかばって後ろ向きに倒れたんだ。
だから頭を打って失神してね…。
その倒れたときの振動で「ギュワ~~~~ンッ!!」って音が鳴ったんだけど、
それが「死のコード」さ!笑
Masa:ぶっ飛んでるなー!笑
GH:あ、いまので思い出した。
そういえば僕は演奏中に幽体離脱した経験があるよ。2回だけだけど。
Masa:幽体離脱ですか…!どんなシチュエーションでおきて、どんな感じだったんですか?
GH:2回とも、アランとステージにいるときにおこった。
演奏している自分を真上から観察出来たし、バンドが発する音が一つの巨大なエネルギーになっていて、自分がそのエネルギーの一部分になっている感じだった。
Masa:僕は体験した事がないので、完全に未知の領域です…。
GH:僕もまだ2回しか経験してないけどね。不思議な感覚だよ。
ただ、ライブ以外のシチュエーションでも似た様な奇妙な体験をする事がある。
例えばある特定のビルとかね。
Masa:ビル??
どういう事ですか?建物のビル?
GH:うん、そう。
「Somewhere in Time(1980年の映画。邦題『ある日どこかで』)っていう映画観たことある?
Masa:いえ、観たことないです。どんな映画なんですか?
GH:ラブストーリーなんだけど、タイムトラベルものなんだ。
良い映画だから時間があるときに観てみるといいよ。観たらわかると思うんだけど、作中に主人公が過去にタイムスリップするシーンがあって、僕の場合は”ある特定のビル”でそれと似た現象が起こるんだ。
光が交差して、ほんの一瞬の出来事なんだけど、気付いたらそのビルの過去の風景にいるんだ。
突然起こるからいつも困惑するんだけど、一瞬でまた元の風景に戻ってくる。
Masa:ただの仮説ですが、それはゲイリーが過去生でその場所に立ち入った事があり、それがフラッシュバックしてきているとか、そういう事かもしれないですね。
GH:過去生については考えた事があるけど、確かにその可能性はあるよ。
それと僕は時間の概念に関して持論があって、時間は横の軸で後ろ(過去)に流れているのではなく、実は全て「今」で、それが縦に重なっているんじゃないかと思うんだ。
全てはいまここにあるんだよ!
そうすると僕が体験するこの現象にも説明がつく。
つまり全てがいまここに縦上に重なりあって存在しているならば、何かの切っ掛けで他の層(過去又は未来)に移動する事もありえるんだよ。
だってそれは同時に起こっている事なんだから。
Masa:いやぁ、面白すぎますね。
因みに飽くまで過去生で話を繋げると、アランとゲイリーは過去生から繋がっていた可能性がありますね。
だとすると最初のセッションから完全な”信頼”があって”ナチュラル”にラポールが生まれた事にも合点がいく気がします。
GH:そうかもしれないね。
本当に惜しい人を失くしたよ。。。
・・・因みに過去生と言えば、ジョン・マクラフリンとのツアー中の面白い話があるんだ(笑)
ホテルで僕が朝食を食べていると、ジョンが腕や足が捻れたような奇々怪々な歩き方で僕に近寄ってきたんだ。
僕は驚いて、「ジョン、一体どうしたんだよ...!?」って訊くと、
ジョンは「俺は変形したんだ!」って変な声でいうんだよ(笑)
そしてこう続けた。
「でもこれはかなりしっくりくるな…。俺はきっと前世でこんな形だったに違いない!」と言って暫くそうしていたよ(笑)
Masa:結構クレイジーな人なんですね。。。笑
GH:とてもクレバーでクレイジーさ!笑
・・・ごめん、ちょっと喋りすぎたよ(照笑)
Masa:とんでもないです!
色々と貴重で興味深い話を聞かせてくださってありがとうございました。
GH:そんな風に言って貰えると嬉しいよ!
ありがとう!
(↑↑ゲイリーのツアー終了翌日、名古屋の味仙での写真)
2020.2.28.fri.
STICK MEN feat.Gary Husband
名古屋ブルーノート公演
キング・クリムゾンのリズム隊Tony LevinとPat Mastelotto、そしてスティック奏者第一人者Markus Reuterによるバンド、スティック・メンが名古屋ブルーノート初登場!1stと2ndで異なる曲目を披露、クリムゾン楽曲も演奏予定! 今回はGary Husbandもスペシャル・ゲストとして参戦!詳細&予約 https://www.nagoya-bluenote.com/schedule/202002.html
2020年2月下旬
JONATHAN KREISBERG QUARTET - "CAPTURING SPIRITS" JAPAN TOUR 2020 -
2/24(月) 熊本 CIB
2/25(火) 京都 le club jazz
2/26(水) 名古屋 BLUE NOTE
2/27(木) 静岡 KENTO'S
2/28(金) 東京 PIT INN
2/29(土) 東京 PIT INN
Jonathan Kreisberg - guitar Martin Bejerano - piano Matt Clohesy - bass Colin Stranahan - drumsカート・ローゼンウィンケルやアダム・ロジャースと並ぶ現在最高峰のジャズ・ギタリスト、Jonathan Kreisberg が自身初となるライブ・アルバム"CAPTURING SPIRITS - JKQ LIVE!"のリリースに併せて来日を果たす! 「その場での各々のリスクの上で辿りついた、メンバー間の高い次元でのコミュニケーションが詰まっている。」とジョナサンが言い放つ本作クインテットのメンバーは、 ピアノにMartin Bejerano(チック・コリア、デイヴ・ホーランド、ラッセル・マローン、ロイ・ヘインズ等)。 ベースにMatt Clohesy(マリア・シュナイダーやエリック・アレキサンダー、シーマス・ブレイク等) そしてドラムにはColin Stranahan(ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カート・ローゼンウィンケル、ギラッド・ヘクセルマン等)という各々が第一線で活躍する名実共にNYCのモダンジャズシーンのトップクラス。 超強力メンバー4人が集まった本公演は、現在進行形ニューヨーク・ジャズの真髄を余すところなく伝えてくれることだろう。
【各公演お問い合わせ&予約】
2/24(月) 熊本 CIB http://cib-co.jp
2/25(火) 京都 le club jazz http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ktsin/
2/26(水) 名古屋 BLUE NOTE https://www.nagoya-bluenote.com/schedule/202002.html
2/27(木) 静岡 KENTO'S http://sz-kentos.jp
2/28(金) 東京 PIT INN
2/29(土) 東京 PIT INN http://www.pit-inn.com
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