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執筆者の写真Masa Goto

特別対談 with Gary Husband & Jonathan Kreisberg

更新日:2020年1月18日


こんにちは、AMSA Records代表のMasa Gotoです。

このブログでは色々なミュージシャンやアーティストとの対談や、ツアー等の裏話を書いていこうと思います。

第2回は前回に続き、現在ソロ、Soft Machineの両方のツアーで来日中のゲイリー・ハズバンド氏との対談です。(このインタビューが行われたのは2018年夏)

しかも今回は時を同じくしてドクター・ロニー・スミスのバンドで来日中のモダンジャズ最高峰ギタリスト、ジョナサン・クライスバーグも参加!!

ジョナサンはAllan HoldsworthやJohn McLaughlinのファンなので、勿論ゲイリーを超リスペクトしているのですが、実はゲイリーもジョナサンの大ファンだったとのこと。。。

興味深い話が聞けました。


ゲイリーとジョナサンの事をご存知ない方の為に、以下に簡単なプロフィールと動画を載せます。

↓↓



Gary Husband / ゲイリー・ハズバンド(dr&key)

公式HP:http://www.garyhusband.com/ 1960年6月14日生れ、イギリス出身のジャズ&ロック・ドラマー、キーボーディスト 現在58歳 ドラマーとして Level 42のバンドメンバーを務めたり、 Allan Holdsworth、Jeff Beck、Jack Bruce、Gary Moore等数々のレジェンド達とツアーやレコーディングをこなす傍ら、 キーボーディスととしてもJohn McLaughinのThe 4th DimensionやBilly Cobham、Soft Machine Legacy等トップレベルのアーティスト達とツアーを周っている。 他にもThe PoliceのAndy SummersやVan Halen、Mike Stern、Al Jarreau、UK等との数々のセッション歴あり。



Jonathan Kreisberg / ジョナサン・クライスバーグ 【プロフィール】 公式HP http://www.jonathankreisberg.com/

NY出身のギタリスト。 10歳にマイアミへ引っ越したのを機にギターを始め、16歳のときにジャズに目覚めるとすぐにシーンに頭角を現し、 10代にして”Guitar Player”や”Down Beat"誌等の有名な雑誌でフィーチャーされる。 1990~1994年のマイアミ大学在学時にはコンサートバンドの主席となり、マイケル・ブレッカー、ジョー・ヘンダーソンといった伝説的ミュージシャン達と共演する様になる。 大学卒業後自身のTrioプロジェクトを始めると、ジョージ・ベンソン、スティーヴ・モーズといったギターヒーロー達の前座を務める様になり、NYCへ戻った後はロニー・スミスやドン・フリードマン、リー・コニッツ、ビル・スチュアート等のレジェンド達や、現代ジャズシーンを代表するアリ・ホー二グ、クリス・ポッター、ラリー・グレナディア、コリン・ストラナハン、マーク・ターナー等と数多くのセッションをこなし、これまでに10枚のリーダー作をリリース。

現在は自身のクァルテットと伝説的オルガン奏者ロニー・スミスのバンドでの活動をメインにワールドワイドに活動を行う。 カート・ローゼンウィンケルやアダム・ロジャース等と並び現代ジャズシーンを牽引する、名実共に現在世界最高峰のジャズ・ギタリストである。


演奏動画



・・・それでは対談の方に入りたいと思います。



≪対談 with ゲイリー・ハズバンド&ジョナサン・クライスバーグ≫


Masa Goto(以下Masa):ジョナサンはアラン・ホールズワースの大ファンだからゲイリーの事音楽的にかなりよく知ってると思うんだけど、いままで面識はあった?


Jonathan Kreisberg(以下JK):ちゃんと会って話したのは去年フェスで一緒になったのが初めてだけど、SNSではよくチャットしてたよ(笑)

あと俺はアラン・ホールズワースの大ファンだから、ゲイリーの演奏は何度も生で観てる。


Masa:ゲイリーはジョナサンについてよく知っていたんですか?


Gary Husband(以下Gary):勿論!!ジョナサンは本当に素晴らしいギタリストだよ。

演奏の凄まじさは勿論、確固たるオリジナリティもある。音色も素晴らしいし、それと作曲のセンスにも感嘆するよ。


JK:ゲイリーにそんな風に言ってもらえるのは本当に光栄だよ・・・。


Masa:それに加えてジョナサンはジョークのセンスもかなりイケてますよ(笑)


Gary:ハハッ!それって実際、ミュージシャンにとってはかなり大事だよ(笑)


Masa:それにしても、お互いそんなにリスペクトしているならいつか二人が一緒に演奏するのを観てみたいですね・・・。

ジョナサン知ってる?ゲイリーがいまソロ・ツアーで使ってるセットなんだけど、ピアノとキーボードとドラムを同時に使ってるんだよ。中々有り得ないよね(笑)



(↑ゲイリーが現在ソロ・ジャパン・ツアーで使用しているセット)


JK:あぁ、FacebookでMasaがアップしてた写真見たけど、かなりぶっ飛んでるよね(笑) 昨日のショウ本当にみたかったな。。。(横浜Motion Blue公演はジョナサンが来日する1日前でした)


Gary:観なくてよかったよ(笑) このセットで演奏する事自体昨日が3回目で、まだまだ初期段階って感じなんだ。このセッティングではてんで初心者だよ(笑)

ただ本当にチャレンジングだけど、音楽的に出来る事の幅が劇的に広がるんだ。

もっとこのスタイルに磨きをかけて、今まででは到達出来なかった次元までいってみたいと思っている。


Masa:ゲイリーにとっては『初期段階』なんでしょうけど、昨日のライブは本当に凄まじかったですよ。まさに多次元の音楽宇宙旅行といった感じでした。

これからの進化がとても楽しみです。


Gary:最初はこんなの不可能に近く思えたけど、実際試してみてたら途中から「これはいけるかも!」って思ったポイントがあってさ、そしたら新しい音楽的可能性が見えてきて楽しくなっちゃって、どんどんのめりこんでいったよ。

まだまだ自分の見えない世界が沢山あるなんて本当に楽しい。


JK:それとてもわかるなぁ。不可能に思ってても一度”スイッチ”が入るとそこからどんどん進んでいくんだよね。

俺は「ONE」というギター1本だけのアルバムを作った事があるんだけど、その時が正にそんな感じだったなぁ…。

ゲイリーと違って俺は一人でステージに立つなんて怖くてできないんだけど…というかゲイリーの場合は一人で3つの楽器だから次元が違いすぎるんだけど(笑)…、そのときはアルバム一曲目の「Canto de Ossanha」を家で試行錯誤しながら弾いてたときに”スイッチ”が入って、「よし、これはアルバム一枚作れる!」ってなったよ。そこからは早いんだよね。





まぁそれにしても、今の時代にゲイリーみたくそうやって全く新しい事を試みるミュージシャンって全然いないよ!

だってちょっとプレイスタイルや音楽性を変えただけでInstagramのフォロワー激減しちゃうでしょ(笑)


Gary:平均”いいね!”数が10個くらい減るかも…!とかね(笑)


JK:でもこんな時代にそういう新しい試みを恐れずに突き進むって本当に大切な事さ。

それがMiles DavisやJohn Coltrane(伝説的なトランペッターとサックス奏者)がやってた事なんだ。そして時代を創ってきた。

彼らときたら、何年もかけて作りあげた演奏スタイルやキャリアを、何の躊躇も無くいとも簡単に捨ててしまうんだ。そして全く新しいものを作り上げる。


Gary:あ、それで思い出した良い話があるよ。マイルス・デイヴィスがキース・ジャレットに言ったバラードの話知ってる?


JK:どの話?


Gary:マイルスがキースに、「お前には何故俺がバラードを演奏しないかわかるか?」と訊いたんだ。

キースは「なんとなく答えがわかるけど、あなたの考え聞きたいからわからないと答えるよ。」と答えたんだけど、マイルスは

「それはな、俺は”本当に”バラードが大好きだからなんだ。俺が大好きなバラードはもう他の奴が最高の演奏をしてるから、俺は違う事をやるんだ。」

ってね。本当の意味でのリスペクトだし、そこから新しいものが生まれる。


Masa:昨日(前回の対談)のアラン・ホールズワースのトリビュートの話とも通ずるものがありますね。


Gary:そうそう、誰かがアランの曲をアランみたいに演奏しても彼は絶対喜ばない(笑)

アランをビックリさせる斬新な演奏をしないとね。あとは、トリビュートにしても、なんで彼が生きてるときに皆しなかったの?って思ってしまうんだ。


JK:ちょっと話が変わるんだけど、ゲイリーはピアノもドラムもやるから、ピアノを弾くときにもドラマー的な解釈のフレージングになるのかは結構気になるな。

例えば凄くアンビエントなゆったりした曲でもドラマーはテンポをキープする為に常に細かくパルスを刻み続けるだろ?

そういうのがピアノのフレージングにも影響されるのか気になるよ。


Gary:正直よくわからないな・・・僕にとってはピアノを弾くのもドラムを叩くのも同じ様に自然で、”音楽を創る”というミッションにおいては同じことだからね。

二つをわけて考えないから、実際のところどうなのかはよくわからないよ(笑)


JK:成程ね・・・。ところで俺はジョン・マクラフリンの大ファンでもあるんだけど、個人的にはゲイリーはヤン・ハマーの後にジョンが一緒に演奏したキーボーディストの中でも一番個性的で、キャラクターがあると思ってるんだ。


Gary:う~ん......。(照笑)


JK:ゲイリー、何も言わなくていいよ(笑)

でも特にマハヴィシュヌ・オーケストラのときのジョンは本当にぶっ飛んでたよね。

当時のジョンの演奏を分析するとさ、A♭とB♭のコードがなってるところで物凄く奇抜なソロを弾いてて「なんだこれ?」って思ったらずっとE一発でフレージングしてたりさ、「何でそのコードなってるときにE一発で弾こうと思ったんだんだ?なんで彼はそんな風に頭の中で聴こえてるんだ!?」って思ったよ。

理論的に言えばバイトーン的なアプローチだよね。(複数のキーが同時に進行している状態)

ただそれが理論的に狙ってアウトさせたんじゃなくて、本能的に聴こえてやってる感じがヤバ過ぎる。


Gary:まぁ実際に ”ぶっ飛んでた” からね。笑

あの頃のジョンはいつも”ストーンド”(大麻を吸ってハイになってる状態のスラング)だったよ。


Masa:そうだったんですか?笑


Gary:うん、結構そのことは有名。笑



(↑John McLaughlin:左 と、Gary Husband:右)


JK:因みにロニー(ジョナサンがサポートでギターを弾いてるDr. Lonnie Smith。因みに今回ジョナサンが来日しているのはロニー・スミスのブルーノート東京公演の為)

も完全に”耳”でクレイジーなサウンドを聴き取る天才だ。

彼は理論は全く知らないけど、理論的にめちゃくちゃハイレベルな事をサラっとやってのける。しかも即興でね!

だから彼とステージに上がるのはいつもフレッシュだよ。セットリストもあってない様なものだし(笑)

でも特に俺がロニーのバンドに加入した最初の頃は大変だったな。ステージ上でいきなりGiant Steps(ジャズの中でもかなり演奏が難しいジョン・コルトレーンの楽曲)みたいなクレイジーなコード進行をいきなり弾き始めたりしてさ…!

「おいおいちょっと待て、そんな事やるなんて聞いてないぞ!!笑」ってことがよくあった。(笑)

最近はそうやってイジメられる事もなくなったけど・・・笑


Masa:めちゃくちゃオールドスクールだね(笑)


JK:それな!(笑) ロニーはもう76歳だけどまだまだ刺激的でさ、頭が下がるよ。




(↑Jonathan Kreisberg:左 と、Dr. Lonnie Smith:右)


Gary:そういう人達からは本当に多くを学ぶよ。僕がジャック・ブルース(イギリスの伝説的バンド”Cream"のベーシストとして有名)と一緒にライブやレコーディングをしていた頃、ジャックが僕に

「ゲイリー、君の演奏は素晴らしい。ただね、”もしもう少しだけ待てたら” 更に素晴らしい演奏が出来ると思うよ。」

って言ったんだ。

僕はその言葉の意味について一晩中考えた。普通なら”もっとスペースを空けて演奏しろって事か?”とか思うと思うんだけど、とにかく彼の言葉についてあらゆる角度から考えてみたんだ。そして僕なりの解釈で消化したんだ。

ジャックのアドヴァイスだけど、そこには僕のクリエイティヴィティも加味されるんだ。


最近はジャックやマイルス・デイヴィスみたいに若いミュージシャンにクリエイティヴなアドヴァイスを与えられるドンがいなくなってきている気がするよ。

僕は「ここはこのスケールでこういうフレーズを弾いたほうが良い」

とか明確なアドヴァイスをするのは好きじゃない。それだとアドヴァイスされた側に”考える”余地がない。しかもアドヴァイスした人と似た様なサウンドになるだろう。

もらった言葉について自分の頭でよく吟味する事が、実は成長するうえで本当に大切な事だと思うんだ。

僕はそうやって周りの素晴らしいミュージシャンから自分なりの解釈で沢山の事を吸収し、成長してきた。

言葉やフレーズを鵜呑みにするのではなく、そこに込められた”フィーリング”を掴むことが重要だよ。


Masa:成程、あなたの演奏が凄まじいクリエイティヴィティに満ちている理由が少し理解出来た気がします。


Gary:演奏してるときは楽しんでるだけだけどね(笑)

さっきジョン(Soft Machineのギタリストのジョン・エサリッジ)とジャムったときも、

「さて、何を叩こうか?」なんて考えたわけじゃない。ジョンの音に反応して音を出して楽しんでただけさ!(笑)

※この話をしていたのは六本木某バーでゲイリーとジョンがジャム・セッションした直後。


Masa:「Be here now!」ってやつですね。


Gary:正しくそれ!(笑)


JK:…ゲイリー、Masa、そろそろ眠さが限界だからホテル帰って寝るよ(笑)

いま何時?


Masa:あ、もうすぐ深夜2時だね。時間経つの早い!


JK:マジかよ、ヤバッ(笑)

でもさ、日本到着した日にこんな遅くまで話し込んでたのって、それだけ俺が興奮してるって事だからね。普段だったらとっくに寝てた。笑

今夜は本当に楽しかった。ゲイリー、会えて光栄だよ!

ツアーの成功を祈ってる!


Masa:いつかゲイリーとジョナサンがコラボレーションするのを聴いてみたいな!


Gary:僕も機会があれば是非ジョナサンと一緒に演奏してみたいよ!

デュオで、僕が今回みたくピアノとキーボードとドラムで、ジョナサンがその上でギター弾くとかね。

僕の方がもっと練習が必要だけど(笑)


Masa:おー、それめちゃくちゃ観たいです!


JK:いいね!その機会があるのを楽しみにしてるよ!

じゃぁ二人とも、おやすみー!


Gary & Masa:ジョナサンおやすみー!




Jonathan Kreisberg & Gary Husband


Gary Husband、Jonathan Kreisberg、共に2020年2月末来日!!


2020.2.28.fri.

STICK MEN feat.Gary Husband

名古屋ブルーノート公演

キング・クリムゾンのリズム隊Tony LevinとPat Mastelotto、そしてスティック奏者第一人者Markus Reuterによるバンド、スティック・メンが名古屋ブルーノート初登場!1stと2ndで異なる曲目を披露、クリムゾン楽曲も演奏予定! 今回はGary Husbandもスペシャル・ゲストとして参戦!詳細&予約 https://www.nagoya-bluenote.com/schedule/202002.html




2020年2月下旬

JONATHAN KREISBERG QUARTET - "CAPTURING SPIRITS" JAPAN TOUR 2020 -

2/24(月) 熊本 CIB

2/25(火) 京都 le club jazz

2/26(水) 名古屋 BLUE NOTE

2/27(木) 静岡 KENTO'S

2/28(金) 東京 PIT INN

2/29(土) 東京 PIT INN


Jonathan Kreisberg - guitar Martin Bejerano - piano Matt Clohesy - bass Colin Stranahan - drumsカート・ローゼンウィンケルやアダム・ロジャースと並ぶ現在最高峰のジャズ・ギタリスト、Jonathan Kreisberg が自身初となるライブ・アルバム"CAPTURING SPIRITS - JKQ LIVE!"のリリースに併せて来日を果たす! 「その場での各々のリスクの上で辿りついた、メンバー間の高い次元でのコミュニケーションが詰まっている。」とジョナサンが言い放つ本作クインテットのメンバーは、 ピアノにMartin Bejerano(チック・コリア、デイヴ・ホーランド、ラッセル・マローン、ロイ・ヘインズ等)。 ベースにMatt Clohesy(マリア・シュナイダーやエリック・アレキサンダー、シーマス・ブレイク等) そしてドラムにはColin Stranahan(ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カート・ローゼンウィンケル、ギラッド・ヘクセルマン等)という各々が第一線で活躍する名実共にNYCのモダンジャズシーンのトップクラス。 超強力メンバー4人が集まった本公演は、現在進行形ニューヨーク・ジャズの真髄を余すところなく伝えてくれることだろう。


【各公演お問い合わせ&予約】

2/24(月) 熊本 CIB http://cib-co.jp

2/25(火) 京都 le club jazz http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ktsin/

2/27(木) 静岡 KENTO'S http://sz-kentos.jp

2/28(金) 東京 PIT INN

2/29(土) 東京 PIT INN http://www.pit-inn.com



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